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今日のお話です.
連載が終わってないのに連載を始めるとは如何なることか,と思いますが,ドタバタコメディばかりを書いていたらそうではないものを書きたなってしまいまして….
それと,ルルーシュを書きたかったんです.
最近ラウンズさんたちばかりだったので(苦笑)
設定は
アッシュフォード学園篇ルルルート,温泉旅行の後,学園祭前のお話です.
ルルライです.
まごうことなきルルライです.
ここでは一番ピンク色になったんじゃないかなと思います.
友達以上な感じですので苦手な方はご注意を.
あ,あと,ルルが偽者ちっくです.若干変態っぽいかもしれません;
それでもいいとおっしゃってくださるお優しい方「つづきはこちら」からどうぞ.
楽しんでくだされば幸いです.
photography 01
コンコンコン.
不意に部屋をノックする音がした.
控えめだが,聞こえないほどではない.
そのあと扉越しにアルトテノールの声が聞こえる.
「ライだ,今,少し時間があるか? 見せたいものがあるんだ」
ライ.
会長と一緒に見つけた身元不明記憶喪失の少年.
始めはどうなることかと思ったが,元来の彼の性格か,それとも記憶をなくしたことで柔軟な対応ができているのか特に心を乱すことなく平穏な暮らしを送っている.
此処に来た当初は無関心,無感情な男であったが,今はふわりと蝶が舞うように笑い,色々なことに興味を持ち始めていた.
今,一番の関心ごとは生徒会主催の学園祭か.
実行委員長という誰もがやりたくないと思う仕事を会長から押し付けられてしまったというのもあるが,本人も割りと楽しく学園中を走り回っているように見える.
やることが何も無くてぼんやりしているよりも,目が回るほど忙しいほうが気がまぎれると言ったのは何時だったか….
けれど,学園祭実行委員長という役柄はライに向いていたともいえる.
普段はぼんやりしていて,何を考えているのかわからないところがあるが,支持は適格で,頭の回転も速い,対応も柔軟だ.
何よりライは効率よく人を動かす方法を知っている.
どう伝えれば人が納得し,ついてくるかを心得ている口調で次々と問題を解決していった.
ライはそれを自然とやってのけているが,一朝一夕で手に入るような能力ではない.
才能とも違う.
以前,そう,記憶を失う以前にそのようなことをやっていたのではないかと思えるほどの手際の良さだった.
それだけではない.
普段の何気ない立ち居振る舞い,仕草,癖からも彼が一般人からは少し外れた位置で生きてきたことがわかる.
凛として品があり,どこか人を魅了させ近づきがたい雰囲気を持っていた.
そこにライが立っているだけで憧れと賞賛を抱かずにはいられない.
それはそう,まるで貴族か皇族がもっているような血がなせる,内からの輝きのように.
皇族ではないにしろかなり位の高い貴族の御曹司といったところだろう.
だったらどこかにひっかかるはずだが,アッシュフォード独自のデータベースからはライのIDは見つからなかったらしい.
イレブンとブリタニアのハーフ.
それが彼を記憶を失わさせるほどに苦しめているのだろうか.
「鍵なら開いている」
手元のパソコンを閉じながら気づいたら答えていた.
出自がどうであれ,ライが誰であれ,そんなことは既に問題ではなくなっていた
ライはライだ.
記憶を失っても大切な部分は何も変わらない.
誰に対しても優しく,人を必要以上に大事にして,人のために働け,能力を使うことを惜しまない.
時折ふわりと空気さえ変えてしまう微笑,ピコピコハンマーが何を指すのかわからなくて困惑している顔,銀糸のように美しい髪.
それがライの本質であり,そんなライを好ましく思う自分が居る.
ならそれでいい.
それだけで,十分だ.
「何かしていたんじゃないのか?」
静かに,ゆっくりと開かれた扉からライが顔を出した.
何も無いときはライが入ってきやすい様にと扉を開け放しているため,それが気になるのだろう.
ライの視線は閉じられたパソコンに向けられている.
「気にするほどのことじゃない.ちょうど休憩がしたかったしな.それよりどうした,何かあったのか?」
「あぁ,そうだった」
ライはポケットから一枚のディスクを出す.
「それは?」
「僕がアッシュフォードに来てから撮った写真をディスクに入れたんだ.この間の温泉旅行のものもあるから一緒に見ないか?」
「そういえばライは写真係だったな」
「そんな係になっていたのか…僕は好きで撮っていたんだけどな.けど,シャーリーもカメラ忘れていて,そんな感じにはなっていたかもしれない」
「変なものは撮ってないだろうな」
ライからディスクを受け取りパソコンに挿す.
その時,ライが視線を反らしたのが雰囲気でわかった.
気を使ってあまりプライベートに踏み込まないようにしているようだ.
俺はそんなに秘密の多い男だと思われているのだろうか.
いや,秘密が多いのには変わりないが.
「別に,見ても構わない.ほら」
画面を見せるように体を傾ける.
ライは少し戸惑ったようだが「そういうのなら」と近づき画面を覗き込んだ.
少し屈む形になって,髪がさらりと肩から落ちる.
邪魔なのかそれを耳にかけた.
「…………っ」
病的なほどに白く繊細な指が髪に絡む.
微かに香る甘い香りはフレグラス,だろうか?
ライがそんなものをつけるタイプだとは思わなかったが,嫌じゃない甘さが鼻を擽った.
数秒のことがスローモーションをかけたようにゆったりと流れた.
惹きつけられる.
「これは…来年度の学園予算? 生徒会ってこんなことまでしていたの……? ルルーシュ? どうしたんだ?」
まずい,と思ったときには不審げに顔を向けたライと目が合って,吸い込まれるように澄んだ瞳に囚われてしまった.
もがいても,もがいてもどうすることもできない深みへと落とされる.
放課後,二人きりの部屋,甘い香り,目の前にいる,ライ.
キスがしたい.
衝動的に,何の前触れもなくそう思い,それがストンと納まった.
ライの顎に手を伸ばす.
生きているのかと不安になるほど冷たいそれ,しかしきめ細かい肌は触れると滑るように誘った.
ずっと触りたかった髪に手を入れると,流石のライも何かがおかしいと察した様子でみじろく.
「ル………ルルーシュ…?」
だが遅い.
右手で顔を固定し,唇を近づけた.
To be continued...