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2008.05.08 Thu 「 turn 3.245LC 短編
昨日言っていた「turn 3.24」の続き,といいますかオマケのお話です.
ジノとアーニャが沢山(?)出てきますが,若干偽者ちっくなのでご注意ください.
私の中でのとりあえずの二人です.
CP要素がなくて本当に申し訳ありません.
ライがラウンズの皆から好かれていればいいよねってことで,争奪戦? 総受け? …の,ような感じになっております.
ラブラブなのも好きなのですが,友達関係の中にちらりと見える愛情,微萌えというのも好きでして.
いえ,このお話に微萌え要素があるかといわれれば微妙なのですが(苦笑)
ラウンズ+ナナリー+ライがじゃれている姿を書いたので,お楽しみいただければと思います.

拍手もぱちぱちありがとうございます!
日々の活力にさせていただいております.
拍手にしては長い御礼ですが,そちらも楽しんでいただければうれしいです.
このオマケのオマケのお話もできているのでそちらは明日辺りこっそり上げておこうと思います.



『turn 3.245』

「これで一件落着だな」
タイミングを見計らって,ナナリーの車椅子の後ろからジノが言った.
まだいたのかと,早くどこかへ行ってしまえと,お前がそこに立っていること事態面白くないという気持ちを込めて睨むが,やはり効果がない.
逆にしてやったりという顔をして笑っている.
ヘラヘラ顔をいつまで見ていても相手の気を良くするだけだと思い直し,その隣で携帯をいじっているアーニャに視線を移した.
「アーニャ,手間をかけさせてしまって申し訳ない」
「………大丈夫」
「そっか.よかった」
「おいおいライ,アーニャだけか?」
「ジノは勝手に首を突っ込んだだけだろう」
「ひどい言い方だなあ,ま,間違ってはないけど」
「………っ」
立ち上がりながら言うと,待ってましたといわんばかりに抱きついてきた.
ジノの一番の問題点がこれだ.
だれ彼構わずとりあえず抱きつく.
何もなくとも出会いがしらでもとりあえず抱きつく.
初対面のときからそうだった.
あの頃は誰かに抱きつかれるという経験がなかったため,オーバーリアクションをしていたが,今にはそれにも慣れてしまって声ひとつあげることはない.
何も知らなかったあの頃が懐かしいとさえ思う.
ジノはこれがブリタニア流の愛情表現だとケラケラ笑いながら言うが,ノネットさんをはじめとするほかのラウンズの皆さんがしないところからして,まごうことなき嘘だと断言できる.
しかし,ナイトオブスリーになっている男だけあって,避ける間もない.
結果的にジノの行為を許すことになり,巨体の体重の半分を請け負うことになる.
「…………重い…」
「相変わらず鶏並みに細いなぁ,スザク以下じゃん.ちゃんと飯食ってるか?」
それは僕のみならずスザクに対しても失礼な発言であると,理解しているのだろうか.
「食べてるよ,ジノが毎朝送りつけてくるピザ以外は」
「何で,うまいじゃん」
「あまり好きじゃないんだ.それに朝から食べようとも思わない」
「えぇ,スザクもそうなのか?」
「スザクにも送りつけていたのか…」
「僕もライと同じだよ.朝からあんなにお腹にたまるようなものは食べたくないかな」
苦笑するスザクと目が合う.
お互い大変だなと,先ほどまで喧嘩していた相手に同情の念を覚えた.
「ライさんもスザクさんもそんなにお体が細いんですか?」
「そんなことないよ,ナナリー.ジノが無駄に大きいからそう見えるだけだよ」
「無駄にって,ひどいなぁ」
「事実だろ.いい加減離れろ,重い,邪魔だ」
「無駄にでかいから体が重いんだよなー.ライー支えてくれよ」
「…………」
このまま投げ飛ばしてやろうか.
肘で払っても,押しのけてもうんともすんともいわない巨体を本気でどうにかしてやろうかと考える.
一度痛い目を見ないとこういうタイプの男はわからないのだ.
余計に体重をかけられて,潰れそうになる.
それになにより,一番気に入らないのが,その腕にすっぽりと納まってしまう自分自身だ.
いや,ジノが無駄にでかいのがいけない,そうに決まってる.
「くすっ,ライさんはラウンズの方々とも仲がいいんですね」
ナナリーは「どけ」「いやだ」と押し問答をし続けている僕らを,じゃれていると解釈したようで,にこにこと笑っている.
僕のほうは本気で嫌がっているのだと,後でちゃんと伝えなければならない.
けれど,ジノは違った.
抱きしめる腕にぎゅっと力を入れ,楽しげに答える.
「お姫さん分かってるね.そうそう,サイコーに仲いいぜ.マブダチだよな,ライ」
「ナナリーに失礼だぞ.もっと節度を持って接しろ.それにマブダチってなんだ」
「ライさん」
「……う….……申し訳ありません」
静かな声でナナリーがたしなめる.
反射的に謝った僕の後ろでジノが楽しげに笑った.
どうして僕がジノのことでナナリーに叱られなければならないんだ.
「面白くなさそうだねぇ,ライ」
「そう思うのなら離れろ」
「もうちょっといいじゃん」
「よくない!」
「………私は?」
「え?」
「私は?」
実力で腕を引き剥がそうと躍起になっていた時に,アーニャが携帯から顔を上げて聞いてきた.
思わず僕もジノも動きを止めて,アーニャを見る.
けれど,アーニャは同じ言葉を繰り返すだけだった.
それだけでアーニャの真意を推し量る測ることは難しい.
これまでのジノとのやり取りを思い出し,考える.
アーニャの琴線に触れるような事柄はあっただろうか?
しばらく思い悩んでいると,アーニャが「マブダチ」と小さく呟いた.
あぁ,と僕も合点がいく.
「アーニャは友達だよ.友達で仲間」
「………うん」
アーニャの方に手を伸ばし,頭を撫でてあげた.
そんなこと,当然なのだと,なにも不安がることなんてないんだよと思いを込めて.
皇帝陛下を守るラウンズの一人であったとしてもナナリーと同じ小さくて細い一人の女の子なのだと改めて認識した.
言葉数が少ないのは何も考えていないからではなくて,寧ろ色々と考えてしまっているからではないのかと思う.
日記は毎日更新し,数分毎にチェックしている点からしても外界と関わり合いを持ちたくないわけでもないようだ.
寧ろ,誰かとつながっていたい,関わりたいと言っているようにも見える.
そんなアーニャが何を考えているのか,わかりたいと思う.
恥ずかしそうに頭を下げたアーニャを愛しいと感じる.
柔らかいピンクの髪はふわふわしていて心地良い.
自然と頬が緩む.
「だからアーニャは何時でも遊びに来ていいんだ.一人でも全然かまわない」
「だから,この差はなんなわけ?」
「ジノとアーニャの差だ」
「わけわかんねー」
「ジノ,いい加減ライから離れたらどうだ?」
これまで黙って僕たちのやり取りを見守っていたスザクがおもむろに口を開いた.
苛立っているようにも聞こえる声を耳にして,ジノはご主人様に注意された犬のようにぱっと両手を離した.
一歩二歩と距離をとるオマケ付きだ.
「僕がどんなに言っても離れなかったのに,スザクの言うことは聞くんだな」
僕は漸く離れたジノを見て,脇に立つスザクを見た.
スザクはこの三人の中では妙に力が上の時がある.
今がそうだ.
鶴の声ならぬ,スザクの一言でジノの問題はあらかた片付く.
だったらもう少し早く助けてほしいのだが,スザクはいつもしばらくの間はジノに好き勝手させる.
それは僕に対する嫌がらせなのか,単に注意するのが面倒なのか….
変な力がかかっていた体をほぐすようにくるくる回してから,立ち位置であるナナリーの後ろに回り,ハンドルを握った.
スザクが何を考えていようが,助けてくれたことには変わらない.
今は詮索するよりも感謝することにした.
それに,車椅子を押すのは僕の役目だ.
「用件は終わったから僕たちは仕事に戻るよ」
「あぁ,気をつけて.EU討伐だったか? あまり無茶するなよ.アーニャも,戦闘のときは携帯じゃなくて周りに注意するんだぞ」
「あの,スザクさん…お気をつけて」
「ナナリーも.ライがいるから心配いらないだろうけど,無理しちゃだめだよ」
「はい」
最後にスザクが優しげにナナリーの頭を撫で,離れた.
その背中を視線が追いかける.
ナナリーをいとおしげに見つめる君,ナナリーをルルーシュの餌にしようとする君,どっちが本当の君なんだと思わずにはいられなかった.
「ライさん?」
「え? あ,あぁ.ごめんよ,ナナリー.僕たちも行こうか」
「はい」
スザクの背中が見えなくなる前に方向転換させ,僕たちも歩き出した.
彼らとは別の方向へ,ゆっくりと.

END

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