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【騎士団新聞】
○月×日,午後3時ごろ,戦艦内に突如として男性の断末魔が響き渡った.
まだ日が沈む前だというのに,おぞましいほどの音量を持ったそれは騎士団員たちを恐怖の渦に巻き込み,精神に異常を発し部屋から出れなくなったものも少なくない.
午後4時ごろ,海面に打ち上げられている騎士団幹部,玉城真一郎さんを団員の一人が発見.現在も意識不明の状態で,医療室第一で治療中である.
一瞬意識を取り戻したときに玉城さんは「あいつだけは…あいつだけは怒らせるな」と繰り返していた.
時間的にも,断末魔の正体は玉城さんとみてまずまちがいないだろう.
あいつとはだれか.
何があったのか.
それは現在調査中である.
今は玉城さんが回復するのを待つしかない.
【騎士団新聞】
玉城断末魔事件に新たなる事実が判明した.
黒の騎士団幹部,玉城真一郎さんが海面に打ち上げられる2時間以前に作戦補佐,ライさんと言い合いをしていたというのだ.
玉城真一郎さんの同僚である南幹部は二人はグラビアの好みに相違があり,それが原因で口論になったと語った.
普段穏やかで温厚なライさんがそのようなことで口論となるとは思えないが,ライさんも人間だ.どこに怒りの沸点があるかわからない.
しかし,その後玉城さんが一人で行動していたらしいという証言もあり,ライさんが事件に直接かかわっているとは言いがたいが,何らかの関わりがあるとみて間違いないだろう.
引き続き調査を進めたい.
それにしてもライさんは容姿端麗で物腰も柔らかであるにもかかわらず私たちのような団員にもやさしく声をかけてくださる.
お時間が空いたときなどは談話室で折り紙を追っている姿が確認されているが紙に向けられる眼差しや,指先はまるで彫刻のように美しい.
この調査を進めていくことにより,ライさんと会話する機会が増えたことを私はとても光栄に思っている.
【騎士団新聞】
前回の記事を書いてから新聞部に入部したいという団員が増えた.
大変喜ばしいことだが,この事件は危険が伴うため,現在は募集を停止している.
ライさんとお話しする機会を他の部員に取られたくないのだろうと思われがちであり,そしてそれを否定するつもりもないが,危険が伴うというのも本当である.
前回の新聞を発行してからというもの,食堂のわかめが少なかった,整備していたナイトメアの装甲が剥がれ落ちてきた,シャワーが水しか出なかったなど数々の嫌がらせを受けている.
これは玉城断末魔事件の犯人による牽制なのであろうか.
だが,こんなものに屈っするわけにはいかない.
私は事実を報道する騎士団の記者なのだ.此処で手を抜くわけには行かない.
だから今日もライさんに聞き込み調査を行った.
ライさんはお仕事中でも私の話を聞いてくれ,答えてくれる.
手が空いているときはお茶とお菓子も出してくれる.
とても優しいお方だ.
ライさんはよく折り紙を折っていらっしゃる.
ライさんの折る桜はとてもきれいだ.
私も教えてもらい,二人で合作もした.これは私の宝であり,ライさんから譲り受けた.
今,それを眺めながらこの記事を書いている.とても幸せだ.
このような美しい造形を私は見たことがない.
ライさんと合作ができるような文化を持った日本人を私は誇りに思う.
黒の騎士団に入隊して本当によかったと思える瞬間であった.
ちなみに,ライさんはさっぱりしたお食事をお好みで,ピザは苦手なようだ.なぜか苦々しい口調でそうおっしゃっていた.
ピザに何かいやな思い出もあるのだろうか?
次回はこの辺りのことを中心に聞き込みをしたいと思う.
【騎士団新聞】
事件が発生した!
大事件だ!
ライさんと私で作り上げた友情努力勝利の結晶である桜の折り紙が盗まれた!
失くしたら申し訳ないと肌身離さず持っていたというのに,どうやらシャワーを浴びているときに持ち出されたらしい.
金目のものもあったというのに,ライさんの桜だけを盗んでいくなんて玉城断末魔事件の犯人はライさんによほど強い思いを抱いているに違いない.
だが私もライさんのファンとして全力で犯人に屈するわけにはいかない.
私はここに宣言する.
何があっても玉城断末魔事件の犯人を探し出し,桜の折り紙を返してもらう!
被害者の玉城真一郎幹部だが,現在は意識を取り戻しいつもどおりの生活を送っている.
断末魔事件の話は思い出したくもないの一点張りで犯人が誰であるかということも公表しないようだ.
「あいつはあいつであってあいつじゃねぇ.絶対怒らせるな」
なぞのようにも思える言葉を繰り返す玉城幹部.
怒らせてはいけないのなら,逆に怒らすことができれば犯人のあぶり出しができるのだろうか.
【騎士団新聞】
玉城幹部の言うとおりであった.
怒らせてはいけない人は怒らせてはいけないのだ.
しばらく新聞を休刊することにする.
ご愛読くださっていた団員のみんなこれだけはわかってもらいたい.
あの人はあの人であってあの人ではない.
決してむやみに怒らせないことをお勧めする.
「ライ,いいところに.騎士団新聞知らない?」
「先週で休刊になったんじゃなかったかな?」
「先週の読んでないのよ.唯一の楽しみだったのにー」
「新聞というよりもコラムに近かったと思うけど,カレンは愛読者だったからな.しばらくしたらまた発行すると思うからそれまでの辛抱だよ」
「でもいったいどうしちゃったのかしら? あんなに力はいってる新聞だったのに」
「新聞部も団員の一人だからね.引越しとか色々で忙しいんじゃないかな?」
「ああ,そっか.そうよね.ゼロがいきなり特区に参加せよなんて言い出すからこっちも大変よ」
「だね.カレンは終わったのか?」
「まあね.元々荷物なんてなかったし…ライのほうは?」
「僕のほうは荷物なんてないし,ほら,こないだのアレで」
「あ,あぁ……そうね,そうだったわね……」
END