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2008.08.08 Fri 「 おはようのキスは:ルルライ(LC)LC 短編
タイトルからもわかりますように,ちょっとラブい話になっております.
私,精神的に切羽詰まり始めるとルルとライを砂はきそうになるくらいイチャラブさせたいらしいです.
ですので,このサイトの大半をしめるライトな関係のお二人を見に来た方はご注意ください.
設定はルルライ,時間帯は朝,場所はベッドの上スタートです(つまり朝チュン)

と,書きつつもエロさを求めて書いたわけでもないので,この注意書きを読んで「エロ!?」と思った人もご注意ください.
タイトル通りの無いようです(汗)
おそらくがっかりすると思われます.

まぁ,仲良きことは美しきことかなといいますので,最近やたら扱いの酷かったルルーシュ・ランペルージくんに好きなだけライとにゃんにゃんさせてあげようというのが今回のコンセプトにございます.
視点は久しぶりのルルのため,全体的に偽者警報発令中でございます!

注意事項の多いお話しとなりましたが楽しんでいただけると幸いです.

ライという男は存在そのものが曖昧だ.
儚いと言ってもいい.
現実と夢の境界線が不確かで,時々触れて,抱いてみないと消えてしまうのではないかという不安に駆られる.
消えるとは,死であるというわけではない.
戦争をしているのだ.互いにその時の覚悟くらいできている.
ライに対する消えるとはつまり,ライがいたという記憶,歴史,運命そのものを無くしてしまうような超自然的力の介入による消滅のことだ.
今でこそ,傍にいることが当たり前になっているが,ともすれば彼がいない人生なんてのもあったのではないだろうか.
あの日あの時あの場所で.
ライがやってこなかったら.
会長と二人で歩いていなかったら.
黒の騎士団に誘っていなかったら.
こうして彼の安らかな寝顔を見,そこに幸せを噛み締めることのできる喜びを一生味わうことなく生涯を終えていたかもしれない.
それでもきっと.自分は自分で今となにも変わらず世界に対して戦争をし,己の道を進んでいただろう.
記憶があってもなくても,ライの存在があってもなくても俺は俺なのだ.なにも変わらない.
けれど俺は知っている.
彼の存在がどれほど自分の支えになっているのか.
どれほど強さになっているのかを.
だからこそ思うのだ,お前が傍に居てくれてよかった,と.
 
おはようのキスは
 
「-…………ん……,ルルーシュ………?」
寝ぼけ眼な瞳がゆっくりと開かれ,焦点のあっていない蒼がぼんやりとこちらを見上げた.
どこまでも澄んだ深い海の色をした瞳の中に涙と光がうっすら灯る.まるで月に照らされる海のようだと思いながら,静かで幻想的な色をしたそれに向かって微笑みかけた.
何の気負いも虚勢も無い,ただあるがままの姿を晒すライは酷く無防備で,普段禁欲的な分より一層高貴な色香を漂わせる.
中でもこの瞳が厄介で,一度魅了されてしまったらなかなか抜け出せない.
この眼に見つめられ,見つめていたい.
涙を溢れさせ,味わいたい.
支配欲にも似た衝動を人の心の中に呼び起こさせるのだ.
媚びているわけじゃない,諂うわけでもない.なのにそこにある甘えの匂いで俺を狂わせる.
ライの眼が好きだという奴はいくらでもいるが,このときの瞳の色を知っているのは俺しか居ないという優越感に浸りながら銀糸の髪をすいた.
気持ちよさそうに瞳が閉じられると,名残惜しくなって,キスを落とす.
次いで頬,鼻先,口.
キスをする度に愛おしさが増す.
好きだ好きだ愛してる.
口ではなかなか言えない言葉を込めて口付ければ,ライはくすぐったそうにし身をよじる.
抵抗はしない.暖かく優しく受け入れてくれる.
「もう起きないといけない時間か?」
しばらくじゃれあったあと,クスクスと笑いながらかすれた声でライが言った.
窓から射す光を見て,そう判断したのだろう.
ライの瞳にも朝がきたかのように聡明さが戻ってくる.
本当に海のような男だ.
気まぐれで曖昧で時に穏やかで,時に激しいところなども良く似ている.
「いや,もう少しゆっくりしていられる」
そういって抱きしめれば
「嘘だろ」
と一蹴された.
ライの状況把握力は黒の騎士団の戦力のひとつであるが,こういうときはもう少し鈍くなって貰っても構わない.
「昨日早いと言っていなかったか?」
「そうだな」
「早くしないと仕事に差し支えるぞ.時間は無限じゃないんだ.大切にしたほうがいい」
「…………」
腕の中で大人しくしていながらも辛辣な言葉を投げかてくるライに対して「時間よりもお前のほうが大事なんだ」といえない自分が恨めしい.
時間は待ってくれない.
そうだ.ライの言うことは正しい.
だが,この温もりから離れてしまうのにも抵抗がないわけじゃない.
お互い激務の合間を縫ってあっている.
次抱き合える日がいつ来るか,わからないくらい多忙なのだ.
もしかしたらあえないかもしれないという恐怖も密やかにだがある.
お前は俺の騎士だから,なにかあった場合には躊躇い無く自分を見捨て俺を優先するのだろう.
そういう不安要素もあって行かねばならないと思いつつなかなか抜け出すことができない.
「ルルーシュ…….仕方が無いな」
我がままを言う俺に呆れ口調を返しながら腕の中でもぞもぞと動きだしたかと思えば,ひょっこり顔を上げたライ.至極楽しそうに笑っているが,その笑みが何を指すのかわからない俺は,困惑するしかなかった.
「? どうした………っ!?」
近づいてくる顔.唇が塞がれ,また離れていく.
「な,ななななな………」
いきなり何をするんだと問おうとしても,言葉が出ない.
自分からするのは良くても相手から,それもライからキスすることなんて指折り数えるくらいしかないのだ.
驚く.びっくりする.戸惑う.
それは正常な反応といえるだろう.
突拍子も無いことに慌てている俺をよそにライはといえば「この時代のカップルはおはようとおやすみ,それにいってらっしゃいのキスをするのだろう?」と平然な顔をして.
「お休みとおはようのキスはルルーシュがしてくれたから,僕からはいってらっしゃいのキスを.一日がんばって」
幸せなくらい綺麗な顔をして笑った.
その知識を誰から教わったのか知れないが,そしてそれは間違っているはずなのだが,訂正することはできなかった.
愛おしい人に眠る前にキスをして,起きたときにキスをして,今日一日がんばれとキスをされる.
これ以上ないというくらい幸せな朝.
「ああ,いってくる」
お前がそれを望むなら,俺は俺の道を行こう.
そしてまた出会えたときにはお帰りのキスを,どうか.
お前の隣が俺の帰る場所だから.

 
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