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2008.08.22 Fri 「 おとまりⅢ:花主(P4)P4 長編

前回の続きです.
これでおとまりシリーズ(?)は終わりです.
長編とは呼べないような長さでしたが楽しんでいただけると幸いです.
今回は花村がちょっとは報われるかな…,攻めっぽいかな…? て感じです(笑)



「いや…」
「なんだよ」
「なんか…驚いて」
恥ずかしい台詞なんてことはこの世に存在しませんというようにさらさら話す奴が珍しく口ごもってる。
驚いたって何に?
口でいうよりも首を傾げるだけでそれを伝えるとどうなってそうなったのかわからないけど急にあいつの顔が近づいて来て、ポスンと俺の肩に顔を埋めた。
首筋から伝わる体温が熱い。
そんなに体温の高い奴じゃなかったはずなのに。そういえば握ってる手から伝わる熱も……。
もしかして照れてる?
赤くなってる顔を想像して、え、まさか、マジ?
見てみたい。と思うのだけど体を動かすことを肩に陣取っているこいつが許してくれなくて。
「なぁ、」
「だめ、動くな」
「めちゃめちゃ見てーんですけど」
「動いたらもう絶対名前で呼んでやらない」
「照れてるっしょ?」
「うっさい」
ニヤニヤしながら言えばむっとした声が聞こえてくるけど首筋の熱が隠しきれない本音を伝えていて。これで隠したつもりになっているこいつがどうしようもなく愛おしくて。握っていた腕から手を離して背中へと回してやんわりと抱きしめた。
伝わればいい。もっともっと。
俺がお前のこと好きだってこと。特別で大切で仕方ないってこと。
それこそ恥ずかしくって死にそうになるくらい、もっともっともっと。
「俺いますげー幸せ」
へへへと緩みきった声で言えば、力の入ってない指が俺のシャツを掴んだ。
それが同じ気持ちだって言われているようですげー嬉しくて。
俺ももっともっと知らなきゃならない。
こいつが結構俺のことが好きだってこと。俺の言葉で照れて顔があげられなくなるくらい恥ずかしがってくれること。俺がお前の特別だってこと。
「動いてい? キスしたい」
なんでか、今度はイヤだなんて言われない気がしてお願いしてみれば、若干の戸惑いはあったもののゆっくりと顔があげられて。耳まで真っ赤にさせたあいつを見てもう鉄面皮とは言えないなと思った。
白い肌に朱が映える。綺麗で可愛い愛しい人。こいつをそんな風に思う俺はかなり重傷であると思うけど、こいつを好きになってこいつを好きさせた自分自身を誇りに思う。
下から上へ。ゆっくりと重なる唇。俺達が人間であるから出来る行為に感謝する。
昨夜のような貪り尽くすキスじゃなくて、たっぷりと愛しさを込めた優しいキス。
唇が離れてどうだったかなと顔を見上げれば、ふわりと幸せそうに笑ったあいつがいて、ああ、ちゃんと伝わったんだなと俺もにっこりと笑った。
知らないだろうけどこういうときのお前の顔ってすげー可愛いんだぜ。何時もは大人びてかっこいいのに、ちょっと幼く笑うんだ。そんな顔されたら襲っちまいたくなんだろーがよ。
「ちょ……うわ、花村!」
「よーすけ」
俺の我慢の限界なんて簡単にきちゃうわけで、襲いたいと思った瞬間にはあいつをソファに押し倒していた。我ながら見事な早業だ。スピードだけなら負ける気がしない。
「どけよ、今何時だと思ってる! いきなり盛んな!」
「お天道様が天頂にむかって上がっているお時間で、別にいきなりてわけでもないかな?」
俺は常に盛ってます。朝だって昼間だって夜だって、昼夜構わず抱き合いたいと思ってますよ、俺は。
「昼間だぞ、わかってんならそこを……! ちょ…にこにこ笑いながら脱がそうとするな! ベルトに手をかけるな! 変なところで器用なんだから、この…、花村ぁ!」
「だから陽介だって言ってんじゃん」
「-……陽介! タンマ、頼むから!」
シャツを撒くしあげ、ベルトも外しもう少しでおろせたのにギリギリのところで決死のストップが入った。
昼間だからという理由でそこまで拒否されるのも傷付くんですけど、それは名前を呼んでくれたことでチャラにしてやろう。
にんまり笑って動きを止め名残惜しいけれどソファから降りれば、あいつときたら見事な早さで跳び起きて服の乱れを整えた。
流石にそれはやっぱり傷付く。
そんなに嫌だっただったのだろうか。
ソファから立ち上がったあいつは、妙に落ち込んだ気分になっている俺の脇を無言で通り過ぎた。
え?
もしかしてめっちゃ怒ってる…?
沈黙が重い。さっきとは違った意味で心臓の音がうるさい。冷や汗が背中を伝い落ちる。嫌な熱が体を支配して顔が引き攣る。うまく笑えない。
振り返るのが怖くて、でも今の状況を知りたくて後ろに全神経を向ければ今から出る寸前にあいつが立ち止まって盛大にため息をつくのがわかった。
呆れられた…!
「陽介」
「は、はい!」
「そんなとこでボサッとしてないで手伝え」
「手伝えって……なにを…?」
「洗濯を干すの。早くしないと皺になる。誰のせいでシーツ丸洗いになったと思ってるんだ」
ぶつくさいいながらずんずんと行ってしまったあいつのいなくなった空間をぽかんと眺めて数十秒。
「よーすけ! 手伝わないと昼飯抜きにするぞ!」
奥から聞こえるあいつの声にはっとして慌てて後を追い掛ける。
よかった…怒ったんでも嫌われたんでもなかったのか…。俺よりもシーツ優先なのが納得いかないけど、誰のせいかと言われればやっぱり俺のせいなわけであるからして強く言うことは出来なかった。
二人並んで白いシーツを干すてのもなんかいい感じだし。
とか考えていたのは俺だけだったようで、あいつはあいつで菜々子ちゃんが帰ってくる前に取り込んでしまいたいという思惑があったようだ。
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