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2008.12.01 Mon 「 親友×友達:花→主(p4)P4 短編
親友×友達 の続きです.
あれ? こんな話じゃなかったはずなのに手直ししていたら方向が怪しい(性的な意味ではなくて)方向に行ってしまいました….
そしてもうしばらく続きます.あれれれ? なんでだろ?
これは一から書き直しの予感…;
予定は未定 そんなことは当たり前.
楽しんでいただけたら幸いです.

場所を映して駅前のコーヒーショップ.
「でさ,そん時長瀬のやつがー……」
「へぇ,そうなんだ.長瀬らしいといえばらしいけど……それは……くくくっ」
「な? だろ? おかしいよな,やっぱ!」
一体誰の相棒に成り下がったんだといいたくなるくらい仲良く一条と話し込むお前.
「……………」
「……………」
会話の少ない長瀬と無言大会を開催中の俺.
折角の休日に何しているんだといいたいけれど、特別親しくない間柄の俺たちは楽しそうに話している二人を眺めながら共通の話題を探していたりする。
-……ウソ。
俺が考えてんのはあいつが一条と何を話しているかってこと。
4人席が開いてないとかで,先に注文を済ませた一条とあいつが相席になったときからこうなるんだろうなという予想はついていた。
一条とあいつはクラスも部活も違うにも関わらず仲がいい。
長瀬という共通の話題があるためか、気のいい一条と根本的に相性がいいのかもしれない、さっきから話題が途切れたことがない。
それがまた俺を苛苛させることになる。
俺といるときはあんなにしゃべって、声をあげて笑ったりしないのに。
一緒に店に入らなかった己の失態を呪いつつ、途切れ途切れにしか聞こえない会話に耳をそばだてた.
内容は長瀬のバカ話。どこで誰としていたって変わらないものなんだけど,もう,あいつの何もかもに苛々する.
お前が俺を誘ったんじゃないのかよ.
「はぁ………」
アイスコーヒーを握り締めながら頭を抱えテーブルに突っ伏す.
ため息をつくなと言いたげな長瀬の視線がつむじに突き刺さったのがわかるけど、無視した。
この陰険な空気に押し負けてあいつと席替えすればいい.
「あー……その,なんだ………,お前,なんか悩みでもあんの?」
俺の思惑通り重々しい空気に負けて口を開いた長瀬だったが、思惑に反して話しかけてきた。
鈍いのか、色々わかってて声をかけてきたのか……これが一条だったら悩むところである。
でも相手は長瀬だ。
恐らくまず間違いなく前者なのだろう。
「なんで?」
だから思いっきり不快感を露にして返事をした。
それでもやっぱり長瀬は鈍く、なかなかに粘った。
「なんでって……….なんか言いたいことがあるなら俺,聞くけど?」
「別に、ない」
「じゃあなんでそんな怖ぇ顔してんだよ」
「長瀬のほうがいかつい顔してんじゃん」
「俺は生まれつきだ。お前のはあらかさまに不機嫌面だろ」
「俺といるのつまんなかったらあっち、いけばいいだろ」
「そうは言ってないぞ」
そう言ってくれよ。頼むから。
長瀬が嫌な奴じゃないことは知ってる。
俺が転校して直ぐ,まだ友達もいなくてあいつとも出会ってない頃に話しかけてくれた奴の一人だ。
内容は確かサッカー部の勧誘的なことだった。
俺に対して好意的に近づいてきた数少ない一人だったから記憶に残ってる。
嫌なやつじゃないどころかいい奴だ。
そんな相手に関係のない苛立ちを露にしている俺のほうが嫌なやつであることは十分に承知している。
でも、感情のコントロールなんて第二次成長真っ只中の高校2年生にできるわけない。
不貞腐れながら温くなったアイスコーヒーを飲むくらい反抗なんてあ可愛いもんだろう。
「彼女にでも振られたのか?」
「ぶ!!!!! ごほごほごほおぇっ……きゅ、急になに言いだしちゃってんの! 鼻にはいったじゃんか! いってー………」
「わ、悪い」
長瀬が妙なことを言いやがったせいで、アイスコーヒーが変なところに入って咽た。
溺れた後みたいな不快感。
本当に最悪。
鼻と目が痛くって、こすっていると「大丈夫か?」と心配げに長瀬が顔を覗きこんできた。
その顔が本当に申し訳なさそうだった。
例えるなら叱れている大型犬。
叱られるようなことをしてるのは俺の方なのに。
「-……いーけど、別に。ちょっと咽ただけだし。つか、なんで彼女?」
「部活で苛々してる奴は大抵彼女絡みだからな。違うのか?」
「サッカー部って真面目にやってるやついないの?」
もっとこー、才能とか努力とかの限界を感じて悩んでるもんだと思ってたけど…。
「どうだろ。俺とあいつくらいじゃねぇかな」
そういって右手の親指で示した先には相棒の姿。
何が、とは聞かなかった。
聞かなくても答えは一つだったから。
「あいつはそーゆー奴だから」
掛け持ちしてる部活だってバイトだって勉強だって手を抜かない奴だってこと俺は知ってる。
人間関係だってそうだ。
真っ向から向かい合って、悪いところも良いところも理解して、受け入れてくれる。
それがあいつにとって特別じゃないってことを、馬鹿な俺は時々こうやって思い知ったほうがいいのかもしれない。
俺にとっては凄く大きくて、特別で、何にも変えがたい出来事だったけど、それから何人もの人間をあいつが懐柔してきたのを俺は隣で見てきたし、俺が知らないところでもそういうことをしているのかもしれない。
自然に、他意無く、それが当たり前の、自然のことであるように。
「サッカーもうまいだろ?」
なんとなく理由は無いけれど本とになんとなく、俺の知らない相棒がどんな感じなのか聞いてみたくなった。
人から聞くあいつの話なんて聞きたくもなかったのにどういう心境の変化なのだろう。
もしかしたら俺の話をしているのかもしれない、していなくても他の奴からみたあいつの評価というのを聞いてみたかったからかもしれない。
長瀬は急に友好的になった俺に戸惑いつつ、そうだなぁと話してくれた。
「経験者っぽい感じだけど、そこまでうまいわけじゃない。勘がいいから練習したら上手くなるだろうけどさ」
「へぇ」
なんでも簡単にこなすから知らなかった。
授業でサッカーやったときはパスとか綺麗だったし、俺はうまいと感じたけど長瀬から見るとそうなんだ。
「だから今、遅くまで残って練習してる。チームメイトともうまくいってないしな」
「うまくいってない? なんで?」
「え?」
長瀬の顔があらかさまにマズったといったように歪む。
その表情が「うまくいってない」程度の重さを簡単に想像させた。
何がショックだったかって、あいつが運動部でうまくいってないことじゃない。
運動部にそういう洗礼があるということは、あいつも承知のうえだと思う。
ただ、俺は何も知らなかったという事実がショックだった。
何も知らされてなかった。
気づかなかったし、気づかせてくれなかった。
相棒だ親友だと思っていたのは俺だけだったのか。
「それ、一条も知ってんの?」
「あ…あぁ、まぁそうだな。たまに手伝ってくれたりする。自分も部活あるのにな」
「…………」
長瀬の声が耳を通り過ぎる。
あいつの背中を見た。
また一条と話して笑っていた。
その周りのやつ等も楽しそうに笑ってる。
そういったものから一人取り残されたように、みんなの音が遠い。
フィルターがかかったようにくぐもって聞こえる音によいそうで。
いつも見てきたお前の背中がこんなにも遠いと思ったのはこの日がはじめてだった。

To be continued...
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