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2008.04.23 Wed 「 ギアスで小噺 03LC 短編
ライが本編に出てくるまで,気に入った(気になった)アニメのシーンの裏側を書いてみよう! シリーズ 第一弾!(しりーず?)(あ,そこは気にしないで,ノリだから)

ということで,設定とかばらばらで毎週ここにライがいたらいい! と思ったところをちょちょっと書こうかなと.
今週は学園だけど,来週はブリタニアにいるのかもしれないという一本一本になんの関係性もない話です.
無理やり武力介入を敢行している感じがありますので,いつも以上に乱文です.ご注意下さい.
すみません.萌と萌と萌と想像力をフルに投入するとこういうことになるんだなと反省しております.
あ,それと難しいことを気にしたら負けですよ.

今週(R2 #3)の設定としては
ブラックリベリオンの時にライは学園にいて,ミレイさんたちと共に記憶を書き換えられているルル→ライです.
シーンはピンクエプロンつけて料理をしていたところです.
ま,ぶっちゃけライがピンクエプロンつけてたら可愛いよねっていう話.

でも,シャーリー然り,ヴィレッタ先生然り,記憶を失っても戻っても変わらない,変えられない思いがあるというのがギアスの一貫したスタイルだと思うので,同じシーンでライ→ルルも書いてみたいなと思いつつ,そうしたらなんか,痒くなりそうなので自重自重(笑)

 みんなナナリーのことを覚えていない.いや,妹のナナリーが偽りの弟に摩り替わっている.俺の記憶を変えただけではなく生徒会のみんなまで玩具に……なんてことを!
 そして何より……….

01.何度でも君を探す僕は / 片思いの君へ Ⅰ / お題

 キッチンの扉が開いた.
 生徒会のクラブハウスに出入りできる人間は限られている.
 更に,その権利を持ったもののほとんどはここに集まっているこの状況で推測できる相手はただ一人,ただ一人しかいない.
「……凄いことになってるな」
 彼は,動じることもなく普段の口調と同じ調子でキッチンの惨事を口にした.
 声は背中越しでも耳に入る.
 穏やかな声色.それは楽しげで,笑っている様子が見なくても想像できるほど軽やかだった.
「もー,ライ,笑わないでよ!」
「すまない.けれど,今日はまた盛大にやったなと.タオルを取ってこよう」
「じ,自分でするからいいよ!」
「だが,その格好で廊下を歩くのは……おい,シャーリー!」
「あーらら,いっちゃったわね」
「人の話は最後まで聞かないのは相変わらずですね」
「そっちの調子はどう?」
「ロロには逃げられてしまいましたけれど,あとは滞りなく.いくつか仕掛けも作りましたから,驚かせるにはちょうどよかったのかもしれません」
「なら,ここはリヴァルが片付けるから」
「え,オレっスか,会長~」
「アンタ,ジャガイモ剥いているだけじゃないの.だから,ライはルルーシュを手伝ってあげてくれない? さっきからなんで俺だけって文句ばっかり言うのよ」
「この光景を見る限り,ルルーシュばかりが働かせれているのでは?」
 そう言って笑い,キッチンの中を進む足音がする.床を蹴って近づいてくる気配.
 それは紛れもなくライのものなのに,自分の知っている彼とはほど遠いものを感じた.
『ルルーシュ』
 俺の名を呼ぶときのライの声はもっと優しく,甘かった.
 愛しさを全て詰め込んで大事に呼ぶその声が俺は好きだったのに….
 今は先輩やシャーリーを呼ぶ声と変わらない.つまりは……そういうことだ.
「また何か考え事か? ルルーシュ」
「………いや,…………っ,お前,何着て…!」
「何って,ルルーシュとリヴァルが着ているそれと同じものだが…?」
 隣に立ったライの姿を漸く見て手が止まる.
 銀糸のように美しい髪は作業をするには邪魔なのか耳にかけ,白のカッター上からピンクのエプロンを身につけている.
 違和感などはどこにもなく寧ろ,似合っているといっていい部類に入るだろう.だが,それが余りにも似合いすぎているというのが問題だった.
「会長!」
 隠し切れない戸惑いをリヴァルと共に掃除をしている会長に向ける.
「何よ?」
「何でこいつがエプロンなんてつけているんです! 会場担当でしたよね?」
「そーだけど,かわいいんだからいいじゃない.それに今更よ,エプロンぐらいで怒らなくっても」
「今更って,そんな……」
 もう一度ライを見る.
 会長との話なんかどこ吹く風の顔をして鍋をかき混ぜ,味見をし,胡椒が足りないかと呟いている.
 その姿はまるで…….
「ルルーシュ,そろそろいいんじゃないか?」
「あ,あぁ……」
「結果的にこうやって料理を作ることになったんだ.それに,制服を汚さなくて済むのだからエプロンも必要ないってわけじゃない.ただ……」
「ただ?」
「廊下を歩くたびに窓の外から刺すような視線を感じる.シャーリーも同じ目にあってなければいいが」
「そりゃあ,幻の美形がピンクのエプロンなんてかわいらしいものを着てふらふらしてたら女子はほかっておかないデショ」
「うんうん.よく似合ってるわー.流石ライ,期待を裏切らないわね」
「そんな期待はいりませんよ.それで,僕は他に何を?」
「じゃあ,ローズマリーを出してソルベにして頂戴.ルルーシュも早く仕上げて!」
「ローズマリーをソルベにですね,わかりました.じゃ,ルルーシュ此処はお願いするよ」
 鍋の火を止めたライは名残を惜しむことなく俺の傍から離れた.
 そのことに少なからず衝撃を受けている自分がいる.
 記憶の奥にある,俺だけが特別だったライはもういない.
 いや,彼もまた記憶を書き換えられ,眠らされているだけなのだろう.
  記憶を失くしてしまったライへなのか,記憶を失わせた皇帝なのか,記憶を失う原因を作った己へなのか,誰に向ければいいのかわからない苛立ちをぐっと飲み込む.
 だが,何処にいるかわからないナナリーとは違い,ライは目に入る位置にいる.
 なら,突破口はあるはずだ.
 もう一度手に入れてみせる.
 記憶がなくてもあってもライがライであることに変わりがないのだから.

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