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2008.07.08 Tue 「 夢色 - jay blue -LC 短編
ライをいろんな人と絡ませよう企画第二段です!
今回は黒の騎士団ルートで玉城を中心に扇さんや井上さんなんかとかかわっております.
玉城を書くのはとても楽しいです.テンションがあがるといいますか,自由にできるといいますか.
ただ,自由になりすぎて収集がつかなくなるのが珠に傷です.
今回の企画のもう一つの目標は短編を短編として書けるようにする! というものなのですがその道のりは果てしなく遠く思われます.
ちょうどよい長さというのを模索中なのですが…今回のは割と長めです.ごめんなさい;
本日,読んでいた文庫のしおりに『自称読書家はメールが長い』という一文を見つけて軽くへこんだ7月の夜.
読書家を自称しているわけではありませんが,なんか長いのはよくないよといわれているみたいでちょっぴり悩んだりしました.メールも……個人的にはそんなに長いとは感じないのですが,一般的に見たら長い…の,かもしれません.日記とかもね,もう少しうまくまとめられるようにならないといけませんね;

っていかんいかん,夜遅くまでおきているとどうもセンチメンタルになっていけません.
楽しい音楽でも聴きながらベッドに入ろうと思います.

最後になりましたがいつも拍手&訪問ありがとうございます.
拍手のお礼を変えて長らく立つのでもうそろそろ新しいのに変えたいなと思いつつ,テーマを何にしようか決めかねています.この夢色シリーズ(?)の裏話的なものでもいいなとか,でもそろそろジノの話が書きたくなってきたりしています.ライは誰と絡んでも楽しいのでそろそろジェレミアに手を出してみるのも一興かもしれないですね(笑) 何が出来上がるかわかりませんが,お楽しみに.
それでは皆さんおやすみなさい.
よい夢を.そして明日もがんばりましょうね.


玉城真一郎を理解できる日はきっとこの先来ることは無いだろう.
何を思い,考え,行動しているのか根本から理解できないのだ.きっと見ている世界が180度違うのためだと自分を納得させ,右手にモップを持ったまま左手を玉城に捕まれずるずると連行されているこの状況について思いを馳せた.
なんでこうなったのだろう?

夢色 - jay blue -

どこからが始まりだったのかはわからない.
月下の整備を終え,プログラムの方も少しいじっておくかと愛機に乗り込もうとした刹那,井上さんから逃げてきたと思われる玉城に捕まり何度目かの一生のお願いをされたのだ.
掃除当番を代わってくれと.
今年で幾つになるのか知らないが,どう考えても成人を越えている男に頭を下げられながら掃除当番の代用になってくれと頼まれることになるとは思わなかった.こういうことが余り好きでなさそうな朝比奈でさえ文句を言いつつもトイレ掃除やら食事の下ごしらえやらをやっていたというのに,この男にはプライドというものが無いのだろうか.
あまりにもあんまりなことに動作よりも思考のほうを優先してしまって,無言を肯定と捉えた玉城はモップを僕に握らせどこかえ消えた,はずだった.
そう,あの時確かに玉城は消えたのだ.なのに何故戻ってきたりしたんだ?

逃げ足だけは速い玉城がいなくなって数秒後,息せき切って井上さんがやってきた.
「こっちに,玉城……走ってこなかった?」
「えぇ,あっちに逃げましたけど」
「あっちね,ありがとう…玉城ー,待ってなさいよー! って,そのモップどうしたの?」
「これは玉城が僕に掃除当番を代わってくれと置いていったものですけど……」
「玉城がライくんにそれを渡して,受け取ったのね?」
「え」
「受け取ったのね?」
「ま,まぁ…結果的にそうなりましたけど……井上さん? 顔が,恐いですよ」
「もう,この際ライくんでいいわ! 玉城の奴はとっつかまえたときに罰を与えるから,ほら,行くわよー!」
「…………なんで僕が…」
「文句なら玉城に言って頂戴.あいつはほんとに全くもう,逃げ足だけは速いんだから!」
「井上さん,それさっき僕も思ってました」
それから,井上さんの日ごろからたまりにたまった玉城への抗議・鬱憤話を延々と聞かされた.

漸く開放されて掃除に取り掛かろうと思ったらタイミングを見計らった猪の如く現れた玉城によってトレーラー内を引きずられるまま移動しているのである.
もう一度問おう.
何で戻ってきたんだ玉城.
だが玉城がその質問の意味を正確に理解してくれるとは思えなかったので口にすることはやめた.それでも行き先もわからないままつれまわされるのも癪だったのでそれなりの抵抗として提案してみることにした.
「玉城,何処に行くんだ.逃げる暇があるのなら掃除をしたほうが後々自由な時間を削らなくてすむと思うんだが?」
「けっ,掃除なんてやってられっかよ! 大体なぁ,ほかっときゃ勝手に綺麗になるんだ,この俺がすることないだろ!」
「それは玉城以外の人が掃除してくれているからだ」
僕みたいな.
「それに,戦闘がありゃまた汚れるんだし,無駄なんだよ.んなことより,あれ! あれ見ろよ!」
今,掃除よりも大切な事があるとは思えなかったが,壁に隠れながらも指示された場所を見るとそこに扇さんがいた.
「扇さんがどうかしたのか?」
「どうにもこうにもお前の目は節穴かよ!? よく見ろよく! おかしいじゃねーか!」
「…………」
玉城にお前の目は節穴かよといわれる日がくるとは思っていなかった.ぞんざい屈辱的なものだな.これは.
少々むっとしながらも再度無人の片隅で弁当を広げている扇さんを見た.
何処もおかしなところはないように見える.
昼時は過ぎてしまったものの,扇さんクラスの人になれば時間通り食事を取るのも難しくなってしまうだろう.
服装も洗い立てのようにパリッとしているし,髪型だって清潔そうに整えられている.そんな扇さんに比べたら玉城のほうがよほどおかしいところが多い.
服は洗っているのかわからないほど汚れてよれっているし,食事中は煩い上に行儀が悪くマナーもなってない.掃除当番から逃げようとするし,逃げたと思えば戻ってくるし….やはりおかしいのは扇さんではなくてお前だと進言しようと玉城に向き直るが,玉城は僕のその反応がたいそう不服らしく,大げさにため息をついて頭を左右に振った.
「かーっわかんねーのかよ! とんだノンケ野郎だな!」
「ノンケ…? 意味はわからないが,いい意味じゃないのだろうな」
「よく見ろよ,弁当だぞべ・ん・と・う!」
「わざわざゆっくり言わなくてもそれくらいわかっている.綺麗で美味しそうなお弁当じゃないか.玉城,僕は人の食事している姿を観察する趣味はないぞ」
「ここまでいってもまだわっかんねーのかよ! 扇が弁当だぞ! 今まで見たことねーのにここ最近ずっとだぞ!?」
「自分で作っているんじゃないか.体調管理をするためにもそれが一番適切な方法だ」
「扇があんな弁当作れっかよ! これだよこれ」
「これ?」
玉城が突き出したのは左手の小指.自分も己の小指を立ててみるがそれが何を示しているのか検討がつかなかった.
何かの暗号だろうか.小指…ちいさい……こども……?
「扇さんには子どもがいたのか?」
「なんでそーなんだよ! わかんねーやつだな,女だよ.お・ん・な!」
「女?」
弁当のときと同様に一言一言噛み締めて玉城が言った言葉を繰り返してもう一度扇さんを見た.
つまり玉城はあの弁当は扇さんの女,つまり恋人が作ったのではないかといいたいのだろう.
成る程,もしそれが本当ならなかなかに価値のある情報かもしれない.相手が誰なのかも気になるし,騎士団新聞あたりなどにはいいネタになるだろう.
少し,興味が湧いてきた.
「証拠はあるのか?」
「あ? しょーこ?」
「扇さんに恋人がいるという証拠だ.お弁当だけでは確証はできないだろう」
「確証も何も弁当は絶対ぇそうだって! あいつここ最近服とかにも気を使うようになったし」
「ああ,それは玉城が気を使わなさすぎるんだ.女性に好かれたいのなら服装からきっちりしたほうがいい」
「うるせぇほっとけ! この間なんて鏡見て髪直してたし…気持ち悪ぃったらないぜ」
「玉城にもそのくらい身だしなみを気にしてもらいたいものだ.扇さんを少しは見習ったらどうだ?」
「だからほっとけって!」
「でもやっぱりそれだけでは何とでも言い逃れできてしまうからな…やっぱり本人に直接聞くしか…」
「ちょ,待てよ! 本気か?」
扇さんと僕たちを隔てている壁出ようとしたところを玉城によって引き戻された.
「なにするんだ.本気も本気だ.確証もないのに周りが騒いでもわずらわしいだけだろ.こういうのは本人に直接聞くのが一番だ」
「何言ってんだよ.本当に何もわかってねー野郎だな」
「玉城にそんなことを言われるとは思ってなかった.さっきから失礼だぞ」
「どっちがだ!」
声を荒げる玉城に「もちろん玉城だ」とはさすがに言えず,口元に手を当てて,大声を出すなとジェスチャーした.不本意だが隠れて人のプライバシーを侵害していることには違いない.こんなところを見られたら,人のいいあの扇さんでもいい顔はしないだろう.
玉城はまだ何か言いたそうで,けれどそれを全部飲み込んでくれた.時々周りの空気を読める男だ.
「で? 僕が何をわかっていないというんだ?」
仕切りなおしに聞いてみる.自分が玉城よりも知らないことがあるというのはなんとなく嫌な気分だった.
「いいか,こういう男と女の関係はデリケートなんだよ.むやみにつついてみろ,藪の中から蛇が出てくるぞ」
「玉城にしてはまともな台詞だが,今まさに僕らは藪をつついてるところじゃないか」
「つついてるんじゃねぇ,見てるだけだ!」
「……………」
ああ,本当に玉城真一郎という男は僕とは違う世界を見ている男なのだなとこのときはっきりと理解した.
胸を張って自慢げに,どうだといわんばかりに口にした台詞に関心も感動もすることなくただひたすらに飽きれてしまう.
本当に,この男は……南あたりがいたらきっと「こいつはばかだからわかろうするだけ無駄だって」くらい言うのだろうか.
頭が痛くなってきた.僕はこの男と何をしているのだろう.
「おいライ! 何やってんだ,行くぞ!」
「は? 行くって何処へ?」
「ここじゃないどこかに決まってんだろ! 早くしないと見つかっちまう!」
「じゃあ,掃除したらいいだろ.ほら,モップはここにあるんだから」
忘れいてたモップの存在を思い出し,そもそも律儀に握っている必要なんてなかったのだと思い直して玉城に渡そうと手を伸ばした.
「げ.嫌だよ,嫌なこと思い出させるなよ!」
「あ」
「げっ」
僕は渡すつもりで握っていたらそんなに力は入れてなかった.それを玉城がおもいっきり払ったものからモップは手から離れてしまい….
カランカランッ
床に落ちて,空しくも軽い音を鳴らした.
「っ! だ,誰かいるのか!?」
「やべ!」
「その声は玉城!?」
「逃げるぞ!」
「逃げたら余計に状況が悪くなるだけかと…」
「いいから走れよ!」
「!? ライもいるのか!?」
「うわっ! ちょ,掴むな! 走れるから,放せ!」
壁の向こう側から扇さんが慌てて弁当を隠しながらも立ち上がってこちらに来るのがわかる.玉城は僕の腕を捕まえて得意の逃げ足を披露する.
僕はここへ来たときと同じように玉城が走るのに付き合いながら,ほんとにどうしてこうなったのだろうと,今日何度目かになる考察をしていた.

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