[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ブルームーン→ギアス篇→特区成立 その後
というありえない上にありえない設定でノリとテンション身を任せたもの.
ライのギアスはムービーを見ている限りC.Cと同様のおでこに浮き上がるもののようですが,
C.C以外の人たちは目にギアスがあるのでどうなのかな? と考えます.
考えるだけで答えは出ないんですけど.
以下のお話ではとりあえず顔面のどこか(…)にあるとかないとか という設定で勝手に書きました.
視点はライの一人称.
ルルライルル?
とりあえず,ルルーシュとライが出てきます.
どうでもいいですが,タイトルをつけるのが心底苦手です.
皆さん綺麗でその話にあったタイトルをお付けになられますがその才を1ミクロンでもいいから分けていただきたいと思う所存.
もう,誰も,誰も傷つけたくない.
大切な人を殺したくない,失いたくない.
死んでいくところを,見たくない.
血にぬれたこの手はもう何人もの命を奪ってきた.
両手で数え切れない,一国を支える人民を全て殺したのは僕のたった一つの言葉.
僕には力がある.
発せれば人の命を,人生を左右してしまう強い,王の力が.
いつ暴走してもおかしくない状態にあるギアスを理解している目の前の男はそんな僕を傍に置いている.
僕は怖い.
いつ,僕が彼を傷つけてしまうかどうか,考えると,怖くて,怖くて,たまらないんだ.
「ゼロ,次の定例会議の資料がまとまったので持って来た.それと,B59地区の治安は安定してきているがまだ不穏分子がある.ちょっといって民衆の話を聞いてきた方がいい.ディートハルトか,藤堂さん辺りに行かせたほうが良いだろう.こういう荒事は玉城のほうが向いているかもしれないが,あいつは羽目を外しすぎるきらいがあるからな.あー,もう一つ,午後から予定してた式典だが時間が30分程切り上げになる.リハーサルをしたいんだそうだ.なんでも新しくええっと……スポットライトの角度を変えたから確認したいとかんとか,そんな話だったから,よろしく頼む」
ゼロの執務室にて,いつもどおりに一日のスケジュールと報告を終え,一礼し,部屋を出て行こうとしたところで「待て」の声がかかった.
話しかけて欲しくないときにこの男は僕を呼び止める.
他の者をだませてもこの男だけはだませないことに辟易としながら,簡単に悟らせまいと心に決め,できるだけ落ちついて振り返った.
「何でしょう?」
「B59の平定は君が行くのが一番効率的ではないのか?」
「僕には僕の仕事があるんだ.どこかの誰かさんが仕事の半分を僕に回してくるからね,外に出る暇がない」
「私はそこまで多くの仕事を回している覚えはないが?」
「僕を頼りにしているのは君だけけじゃないということさ.黒の騎士団のメンバーはデスクワークが不得手らしいからね.扇さんが唯一の良心だ」
「その扇すら最近ライの顔を見ていない.彼は元気なのかと泣きついて来たぞ」
「彼とはタイミングが合わないんだよ.いつもすれ違ってしまう」
「カレンや玉城,スザクともそうだと?」
「…………それ,は………」
「同じ言い訳は二度使えんぞ,ライ」
若干の怒気を含んだ声.僕はそれを全力で無視する.
ゼロは気づいている.けれど確信がないから僕に言わせようとしている.それがわかるから,僕は無視を決め込む.言いたくない.心配を掛けたくない.
「皆,大げさなんだよ,僕のことは僕のほうで処理しておく.煩わせて悪かった」
「私の問いの答えになっていないぞ,ライ」
「僕と雑談をしている暇があるのなら,そこに積みあがっている書類をどうにかしてくれ……って,ゼロ!?」
ゼロは右手を仮面に持っていった.その行動から予測できることは唯一つ.
「ゼロ!」
止めようと手を伸ばしてももう遅い.
だからどうしてこの男は,一番嫌なタイミングで一番嫌なことをするのだろうか.性格が捩れ曲がっているわけではないのに,これは無意識なのか計画なのか判断がつかないが,恐らく僕の隠していることを証明させるには一番いい方法であると確信して入るのだろう.そして,それは正しい.
僕は何が何でも,どうしても,ゼロにその仮面だけはとって欲しくなかった.
「君の前では仮面を被っていたくない,俺はそう,言わなかったか?」
「………あぁ,言った.言ったな.覚えてるよ」
「ライ」
穏やかではあるけれど,やはり怒りや戸惑いを感じている声.僕は,そんな声を聞いているだけ,彼の顔を見ることが出来ない.
「どうして顔を背ける.何故,俺を見ない」
「わかっているんだろう,その仮面を今すぐ………」
「今すぐ,何だ? はっきり言わないとわからないな」
「………頼む,ルルーシュ.僕は君にギアスを使いたく,ないんだ」
僕が出来るだけ早くこの部屋から出たかった理由.
皆に会わなかった,会えなかった理由.
顔を見られれば一発でそれがわかってしまう.だから僕は顔を上げられない.あげたくない.
「ギアスの暴走.そうだな?」
ルルーシュが近寄り手を伸ばす.その手から逃げるように僕は一歩身体を引いた.ルルーシュの手が空を切り,握り締められた.
細くて綺麗な手だ.多くのものを抱え,震える手.僕はこの手を支えたいと思っている.感情を押し殺しそうな手に手を重ねることが出来たのならどんなに楽だろう.
「君も人が悪い.それがわかっていて何故,仮面を外した」
「こうでもしないと君は話さないからな」
「こうまでしなくても君はわかったはずだろ.僕のギアスは一度暴走している.次暴走したらどんなことが起こるかわからない.C.Cにでも聞けば直ぐにわかることだ,だから…………っ!」
だから早く,早く此処から出してくれ.
君の前から姿を消させてくれ.
頼もうと開いた口は言葉を紡ぐ前にふさがれてしまった.
「だから,俺からも逃げようとするのか.お前は」
「る………ルルーシュ,ばか,昼間だぞ.誰かに見られたらどうするんだ」
「此処には俺とライしかいない」
「そういう意味じゃなくて」
軽い,触れるだけのキスだった.だけど,全身が感じたルルーシュの熱.低い温度の中に確かにある心地よい体温.
ルルーシュから離れられない理由.
自分が彼らに迷惑をかける存在になったら消えようと思っていたのにそれを戸惑わせる理由.
きょろきょろと辺りを見渡す.どうやら本当に誰もいないようだ.C.C辺りに見られていたらと思うとひやひやする.
何しろ彼女は僕とルルーシュの関係を面白がっているような節がある.いいからかいのネタがあるのならそれをダシにつかってピザを何枚頼まされるかわかったもんじゃない.
「俺から離れようなんて考える方が悪い」
「考えてるだけで本当に消えたわけじゃないだろう」
相手がルルーシュじゃなければ,当の昔に姿を消し,今頃は誰もいない辺境の地で骸になっていたはずだ.
「ギアスは一度使ったものには二度と効かない」
「そのくらい知っている.ギアスに関しては僕のほうが先輩なんだ」
「なら俺がお前にギアスをかけたように,お前も俺にギアスをかければいいだけの話だろう.俺は別に,お前のギアスならかかっても構わない.どんな命令でもな」
「………」
「俺も,我慢の限界なんだ」
「毎日顔は見せに来てやっているだろう」
「ゼロとしてではなく,ルルーシュとしてライに会いたい」
「同一人物だろう」
「そういうのであれば,あの他人行儀な態度をどうにかするんだな」
「君に心配をかけさせたくなかったんだ.だけどこればかりはどうしようもない.暫くしたら落ち着くかもしれないし,今は,見逃して欲しい」
「………」
「僕は一度ギアスで失敗をしている.多くの人を殺した.ギアスが暴走したらどうなるか君も知っているだろう? だから安易に使いたくないんだ,頼むルルーシュ.僕は君を傷つけたくない.失いたくないんだ」
「………君は相変わらず頑固だな」
「ルルーシュにだけは言われたくない.君を失わないで済むのなら,僕は君に嫌われたって構わないと思っているよ」
今度は自分からキスをする.自分からするのは大丈夫なのに,されるのにはまだ耐性がないルルーシュが目を見開いて固まったが,そんなのお構いましに挨拶代わりのキスではない深く,濃いキスをお見舞いする.
キスをしている間は命令をしないで済む.赤くなった瞳でルルーシュを見ればいろんな色で戸惑っている顔がそこにあって,それでもやっぱり綺麗な顔をしているなと久々に見て思った僕は,どれだけ彼のことが好きなんだろうと苦笑したい気分になった.
「…………っ,この,馬鹿! ……っ,ライ!」
漸く唇を離した頃には,ルルーシュの瞳は充血して,頬が赤く染まり息が乱れ始めていた.詰襟を少しだけさげて,首に跡を残してから名残惜しげに離れた.
「先に誘ったのは君だろう.やられっぱなしは性に合わないんだよ.でも,今日は此処まで」
離れがたくて,ルルーシュの黒髪をなでて一歩二歩離れたところでタイミングよくノック音は響いた.
「ゼロ様,定例会議の時間です」
乱れた服装を整えてやって,仮面を渡す.
「定例会議の時間ですよ,ゼロ様? さ,仕事をしてきてください」
恭しく下げた頭に痛い視線が刺さったが,ルルーシュは無言で仮面を被り部屋を出て行った.
その背を見送って重い息を吐く.
「限界………かなぁ」
最後のキスは甘く切ない味がした.唇に手を添える.ルルーシュの熱を感じたそこだけが酷く熱い.
残した跡が消えた頃,ルルーシュの中から僕の存在が消えればいいのに.そう願わずにはいられなかった.
王の力は孤独にする.
その時期に,来たのかもしれない.
C.Cは僕にいなくなられると困るといった.ルルーシュが腑抜けになって使い物にならなくなるからと.
なら……….
そこまで考えていつも思考は停止する.考えたくない.考えたくない,動きたくない.
けれどそうも言って入られない.
君が僕にかかるギアスなら何でも構わないというのなら.そして,暴走しても構わないギアスを使うなら,僕は………
「………ライが命じる」
目の置くが熱い,鈍器で殴られたように頭がくらくらする.
それでも言葉を紡いだ.暴走しているのだ,声を張り上げなくても呟くだけでいい.
「僕とかかわりを持った人全て,僕のことを忘れろ.そして,どうか幸せに」
後のは願い.ギアスは一人につき一度しか使えない.それでも暴走しているのならイレギュラーなことがあってもいいだろうと,心の願いを口にしてみた.
誰にも何も言わず,何も告げず行政特区を去ろうとする男の背中をC.Cは眺めていた.
「どうした,C.C」
その背後から傲慢な声が聞こえる.くぐもった声.
数分前とはどこか違う声色だったが,その理由を知っているものはもう一人しかいない.
「別に,なにも」
「ならば行くぞ,B59地区でまた騒動が合ったらしい.藤堂に任せようと思ったが,俺はあいつ……」
「あいつ? それは一体誰のことだ?」
「…………いや,なんでもない」
「忘れてしまったのだな,お前は.忘れさせてしまったのだな,あいつは」
「何を言っている」
「さあな.それよりも明日から貴様を起こしにくる奴と,スケジュールを確認する奴を雇ったほうがいいぞ」
「そんなこと貴様に言われる筋合いはない」
「そうか? ならいい.行くのだろう,何をしている」
その次の日から,ルルーシュは自分が一人で起きることが出来なくなっていることに驚き,毎朝来るべき人物がこないことに戸惑いを覚えた.
誰がくるのかわからない.
でも誰かが来ていたのだ.
寝ている自分を起こしに,決まった時刻に,決まった人物が.
そんな気がしてならない.